小川町お散歩3
怪しい女は、料理が運ばれて来る度に、テーブルの上を確認しながら、カメラのシャッターを切ります。「カシャン」その度に、若いカップルの会話が止まります。
「カシャン」「しぃ~ん」「モグモグ」「カシャン」「しぃ~ん」「モグモグ」・・・。
今回ほど、キモノで来なくてよかったと思った日はありませんでした。これでアンティークのキモノなぞ着ていたら、本当に訳のわからない人になっていたことでしょう。
仲居さんは、完全に私のことを、何かの取材で来た人のように勘違いされているようで「遠いところを、わざわざありがとうございます。」と、終始お料理の説明なども丁寧にして下さって、大変気持ちよく、美味しく頂くことが出来ました。
でも、済みません!!私は雑誌の取材に行ったわけでも、何でもないのです。ただ『忠七めし』が食べたかっただけの女です。
恐らく、私が立ち去った後、若いカップルは怪しい女について堰を切ったように話し始め、アレコレと推測を重ねたことでしょう。若いふたりに話題を提供出来て光栄です・・・。
私は『忠七めし』を食べることが出来、若いふたりは会話が弾み、仲居さんはなんとなく嬉しかった(的はずれではありますが・・・)、そう思えば、これは非常に幸せな食事だったのかもしれません・・・そうでありたい・・・。
ともかく、思いがけずに頂けた『江戸食百珍』とても美味しかったので、お料理のご紹介!
「」の中は、出典の江戸料理本名です。
壱、高月膳 鰻もどき「料理通」
利休卵「万宝料理秘密箱」

弐、蛸壺 芋たこ汁「年中番菜録」

参、六角皿 合歓豆腐「豆腐百珍」(お豆腐の上にお餅が!)

四、かさね重

いの重 揚出大根「大根一式料理秘密箱」
ろの重 青菜浸し、流し物「年中番菜録」他
はの重 鯛香の物酢「鯛百珍料理秘密箱」
りんごごま山椒和え「料理伊呂波包丁」
大根三ツ輪漬「素人包丁」



伍、忠七めし


待ちに待った『忠七めし』は、海苔のかかったご飯の上に、山葵と柚子とさらし葱を乗せ、鰹の出汁をかけて頂きます。あっさりとした、私好みのものでした。
そして、こうなったら何年かかっても、地味に『日本五大名飯』を制覇してみせると、心に誓ったのでした。

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コメント
ともあれ
緑川婦人さま
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画像を拝見していると、なかなか研究熱心な板場さんな様子。
遠いのが残念です;;