小川町お散歩2

「ごめん下さい。ひとりなんですが、お食事できますか?」
「どうぞ、どうぞ、お2階へ」
仲居さんにエレベーターで2階へと運ばれ、靴を脱いで上がった座敷の中央には、一組のカップル。
他に客もいなかったので、とうぜん離れた席に案内されると思いきや、仲居さんは一瞬僅かに首を傾げてから、カップルの隣の席を私に勧めました。
そ・それはないんじゃないの・・・。
席を変えてもらおうと辺りを見回したところ、なるほど、2人席はそこしかないのです。時刻は5時前、微妙に夕飯には早いが、早めの客が来ないとも限らない時間です。4人以上で座れる席は確保しておいた方がよいという、とっさの判断だったのだろうと思います。
些か気づまりですが、こんな中途半端な時間にひとりで入ったのですから、仕方がありません。若い二人が私のことを地蔵のように思ってくれることを願いつつ、席に着いたのでした。
しかし続いて更なる、決断を迫られることに・・・。
渡されたメニューには、懐石料理ばかりです。全ての懐石に『忠七めし』が付いているのですが、単品の『忠七めし』がどこにも無い!困ったなぁ・・・確かネットの情報では、1000円前後の単品があったはずなんだけど?
仲居さん「お決まりですか?」
私「あの~、いわゆる『忠七めし』が食べたいんですが・・・」
仲居さん「単品は平日のランチだけなんですよ。でもどのお料理にも『忠七めし』はついてますから。大丈夫です。」
私「いや・・・その・・・」(とうろたえる私)
仲居さん「大丈夫です、どれもそんなに量は多くないですから、食べられますよ。」
違うんです!私は忠七めしが食べたいだけなんです。量の問題じゃないんです。ひとりぼっちで懐石ですか?そんなお大尽なことは・・・。ん?ひよさ!それでいいのか?「日本五大名飯」の『忠七飯』を目前に尻尾を巻いて帰る気か!いくじなし!いいじゃないか、ひとりで懐石だって!
仲居さんは、一番軽い感じの懐石のコースを勧めてくれましたが、ふと見ると特別料理のメニューが・・・微妙に勧められたコースより安いではないですか!2600円!写真で見た限りでは、こちらの方が量的にも軽そうだし、お財布へのダメージも少しは軽減されそう・・・。
「こちらはお願い出来ないですか?」声を出してから、気づいたのですが、なんと1日20名様限定の特別料理だったらしく、仲居さんが板長さんに聞いてきて下さることに。あ・・・本当にやっかいというか、場違いな客で済みません。
こうして、私は春の小川町で、ひとり、創業260年記念第1弾『江戸食百珍』(忠七めし付き)を頂くことになってしまいました。

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