お江戸の小正月2
「私もね、お嫁に来た時にはびっくりしたわよ。だって実家じゃサラサラの小豆粥だったもの・・・」と話されるのは充子さんのお母様。
「甘いしね、ドロドロだし、この人のお母さんなんて、食べる時に更にお砂糖振って食べてたって言うのよ。」
「でもそれがね、充子も言うけど、なんだか食べたくなるのよ・・・。」
うんうんと首を縦に振られるお父様。
「このあたりでもうちの親戚くらいっきゃ食べるって聞かないね。」
再び、お母様「15日に炊いてね、16、17日と置いて、18日にね食べるのよ。18日が最後。でもね、それが何でだか解らないのよ。」
横からお父様が「もう、解る人がいなくなっちまった・・・。」
ひとしきりお話を伺った後に、調理の開始です。
ガスの上には、白粥と小豆がそれぞれの鍋で炊かれて待機しております。
ひ「この小豆は甘いのですか??」
充子母「ううん、ここではまだ砂糖は入って無いのよ。茹でただけ。お赤飯にだって使えるわ。」
ぐつぐつと煮えるお粥の中に、小豆とその煮汁が投入されて、あっという間に実家でも見覚えのある小豆粥の様相となりました。
・・・が、ここからが違いました。
お米と同量あるいはそれより多い??と思われる量の細かく切ったお鏡餅が投入されるのです。驚

ぐつぐつを超えて、お鍋はグラグラと煮立ち、お餅はユルユルと溶けて、水分はどんどん飛び、粘りが出てドロドロです。

ここでお砂糖投入!!
おお?結構入るけど想像していたよりは少ないかな??
すかさず充子さん「昔通りにやってよー。加減しないで!!初めて作るの手伝うんだから、ちゃんと教えてよーー!!」
充子母「まぁ、こんなもんよ。適当にやりなさいよ、適当に!え?そうなの?うーん、じゃあ、もう少しね入れるかね・・・。」
お砂糖追加。笑

母と娘のやりとりを横に、お鍋の中は、お餅とお米が混然一体となって、ポッテポテの糊のような仕上がりです。
頂きま~す。

こ、これは、生まれて初めて食べる強烈な糊状の食感。驚
一度にたくさん口に入れると、溺れてしまいそうです!!
しかし・・・あれ・・・あれれ??美味しい!!
実は、私、お汁粉やお善哉があまり得意ではありません。
甘く炊いた豆も苦手でございます。
ですから、この日は、苦手であるかもしれないことを覚悟して望んだのですが、これは美味しい!!
確かに甘いお粥なのですが、小豆部分が甘くないことで、ただただ甘いだけではなく抜け感があるんですね。
ひ「私、善哉やお汁粉より、こっちの方が美味しいと思う!!」
充「ね、意外とイケルでしょう~♪笑」
充「前から1回試してみたかったんだけど、ちょっとだけ塩入れてみたいんだよね。」
ひ「塩気のある大福が美味しいみたいな感じだね♪」
よしよしとばかりに、パラパラと塩を入れて一口。
「う~ん・・・。塩要らないね。」
そのままの方がずっと美味しいと意見は一致。笑
恐る恐る食べた小倉家の小豆粥でしたが、結局お代わりをし、更にお土産として頂いて帰る程でありました。
頂いたお粥はきっちり18日にうにさと一緒に食しましたよ♪
帰宅後、小正月の小豆粥について調べてみたところ、『一月の行事レシピ』という面白いサイトを発見しました。
江戸時代に書かれた『守貞謾稿』には江戸では砂糖を入れ、京阪は塩を入れて食べていたと記されているようですよ♪
1月15日と18日の項を読むと、小倉家ではお江戸の古い習慣が続いていることが解りますね。
ちなみに『十八粥』というのは、新年の季語でもあるそうです。

写真は小倉家の台所にあった竈神の神棚。
赤い御幣って大神神社の赤御幣くらいしか知らなかったのですが、竈神にも飾るものなのですね。
ちなみに、我家では何故だか竈神にだけは三段の鏡餅をお供えします。理由は、祖母がそうしていたからとしか言いようがないのですが、ご存知の方がいらっしゃいましたら、お教え下さいませ。(形もちょっと変わっていて、下から大・小・中のサイズ。)
いろいろと勉強になった楽しい一日でした。
小倉家の皆様!ありがとうございました!!

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コメント
うちは塩味
江戸は甘いお粥で「そんな女子供が食べるようなモン」だったとか。
「みおつくし料理帖」の七草粥の章に、書いてありましたよー。
ついでにお雑煮も白みそのどろどろでした。
お餅が溶けるまで煮込むのです。お餅をいくつ食べたかわからなくなります。
冷凍の豆大福をレンチンして温め過ぎ
ドロドロになった感じに似てる?
あっくまさま
来年が間近過ぎて、来年は無理だと思いますが、そのうち新年会でも開いて、あずき粥の会でもやりましょうかね?充子さんがきっと伝授されたものを披露してくれることでしょう♪(何年先になるかは不明です・・・。)
アルさま
一周して鏡餅が帰ってまいりました!
(現在、2015年紅白放送ちゅう。私が目を話した隙に、いのっちがふなっしーを叱っていたらしい)
やっぱりお江戸は甘いんですね。もう一回「みおつくし」読んでみよう!
甘いのもけっこう美味しいものでした。
思い出して食べたくなるというのは、わかる気がします。
じんわり体に沁みるという感じで。
ちょうど鏡餅の季節が巡って来ているので、来年はぜひ甘いのもお試しくださいませ~。
かぎちゃんさま
京都のお正月のどろどろ尽くしも、是非体験してみたいものです。笑
小倉家のあずき粥は、今思い出しても、私が食したことのあるものの中では一番どろどろしたものかもしれません。
そうだ、あの食感を忘れないうちに、他のどろどろも経験してみなくては!!
香子さま
なちもさま
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