伊勢木綿-臼井織布の巻2

お店の方へ引き返し、いよいよ反物の物色です。
見本帳のようなものから選ぶのかと思ったら大間違い。
「自由に見てって下さい。」の一言で、反物の山の中に置き去りにされてしまいました。そうです、ここは織元さん、呉服屋さんではないのです。工場の仕事がメインですから、小売のお客を相手にするシステムなどはないのです。(本当におじゃまいたしました。)
反物の山の中に取り残された私達は、最初こそ遠慮がちに山の頭頂部の反物を見ていたものの、徐々にヒートアップ!「自由に・・・」という言葉に力を得て、自由すぎる程の探検が始まりました。



辺りは、反物の山山山・・・どこもかしこも反物だらけで、足の踏み場もありません。増築に増築を重ねたような家屋の扉を開ければ、反物。もちろん隣の部屋も反物。お蔵の中も、押入れの中も、箪笥の中も、扉という扉の内側には反物の山が現れます。しかも、あるのは反物だけではありません。座布団・布団・割烹着・袋物に扇子・・・もちろん全てが伊勢木綿。
もう、ここから1つだけ選ぶなんて、私には無理!半分泣きそうな気分になりながら、目だけは鷹のように、次から次へと反物をなめて行きます。段々と目が慣れて来ると、同じように見えても、よく見ると微妙に糸の色が違っているのが解ります。店主の臼井さんが言われることには「作る方も、ずっと同じじゃ飽きちゃうからねぇ。いろいろやってみるわけですよ」。伝統的な手法の上に、新しいものを作りたいという姿勢が伝わってきます。
ときどき思い出したように「何かあったら言って下さい」と店主の臼井さんや妹さんや奥様が声を掛けて下さるのをいいことに、鏡を出して頂いて顔映りを見たりしながら、徐々に狙いを絞っていきます。
最終的に決めたのが、この2反。(結局、1反には絞れなかったのです・・・。)


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